遺書手紙日記

覚書、或いはTLを汚さないための長文

田植えの話 或いはどこへも辿り着けないという話

5月5日 晴れ

なかなかに良い天気だし暖かい。3時10分。

帰宅はだいたい12時45分だったから、本来なら開始は2時45分くらいのはずなんだな。

どこかへ走りに行きたい気もするが、昨日そこそこ重労働をこなした後なのでちょっとばかり悩む。だからこそ体を動かすべきなのかもしれない。筋肉痛も特にはないし、いやちょっとあるけど、太ももの裏とかそういうとこ。

あとあれだ、礼服を取りに行かなきゃいけないんだ。昨日の夕方で頼んでいたのだけど、流石に田植えの後のラフな格好のまま取りに行く勇気はなかった。身嗜みを整えていく。

そういえば髪も切らないとなあ。

不動産屋から連絡が全然ないけど、どうなったのだろうか。ええとこの日記にはどこまで書いたかな。母が口を閉ざしていた父の死の状況について、不動産屋さんに直接話してくれたはずだから、その後の変化があるはずなのだけど。それ以降また連絡がない。

 

田植え。田植えだ。昨日は朝から田植えをやっていた。

母方の祖父の家、というか母の実家だ。

といっても3日にかなり捗っていたようで、4日には田植えそのものはほぼ午前中で終わってしまった。

午後からの後片付け(ビニールハウス等々)の方が面倒だったくらいだ。

 

今年で齢三十になるぼくだが、田植えの手伝いはもう…何年だろう、二十年くらいやっているんじゃないか。まともに戦力になったのはいつからか、というのはあまり自信がないが…。しかしほぼ毎年手伝っていることは確かだ。うん。

ぼくがそのくらいの年齢の頃は、だいぶ人員も多かったし田んぼも広かったものだ。機械の性能が上がっていることもあるが、それを差し引いても当時の半分以下の田んぼしか持っていないんじゃなかろうか。丸3日、丸4日くらい平気でかかってた気がする。

今は沖縄へ行って床屋をやってるぼくと同じ歳の従兄弟とか、今は東京の方にいるその妹とか、ぼくが高2のときに亡くなった祖父とか、共同で田植えをやっている家のぼくと同い年の息子とか、そういう辺りの人員がいなくなってしまった。こうして改めて人が減ったことを考えると、なんとも悲しいものだなと思う。

ある意味では、健全だと思うんだけどね。人間は旅立たなきゃいけないものなんだ。遠く離れた街で元気にやってる、いいことじゃないか。

それに増えた人員もいる。共同で田植えをやっている家の娘、先の息子の妹、の婿だ。その妹夫妻、まだ25前後のはずだが昨日会ったら乳児っぽい第二子ができていた。凄いなあと思った。長男はもう三歳くらいなんだぜ。早いよなぁ。その親御さん夫婦も早かったからなぁ。しかも妹さんめっちゃかわいいんだぜ。看護師やってたんだぜ。ド田舎なんだけどね。声もかわいいし手足すらっと長いし、つまり才色兼備ってやつだぜ。

この家、仮にここではY家としよう、は結構なんていうか、凄い家でね。ぼくの祖父に当たる人物と向こうの祖父に当たる人物が仲が良くて、そのせいで共同で米作を始めたんだと思うんだけどね。その爺さんの息子、お父さん夫婦、が18のときに、ぼくと同い年の息子が生まれてんの。うちの母は28の時にぼくを産んだからそっちが遅いってのもあるんだけど、絶対値で言ってもすっごい早いよね。30年前とはいえ18歳で第一子はすごいって。しかも夫婦仲も悪くない。羨ましい。第二子が22か23で、第三子がなんと35くらいだったかな。年の差すごいよね。昭和みたいな年齢差だよ。その長男の方は農家が嫌で遠くでSEやってて全然嫁どころじゃないみたいだけど、さっき言ったように妹の方は

22,3で結婚して子持ち。やっぱりこういうのって家系なのかね。超幸せそうだった。はー。

しかもそのお父さんの上に姉が3人いて、今は遠くに嫁いでるけど、長期休暇になるとちょくちょく遊びに来るらしい。GWもお姉さんのうちの一人が夫婦でペット(犬)連れで来て、その旦那さんが田植えを手伝ってくれる。そこの娘さんも、以前何度か会ったけど結構可愛いんだ。あとそこの息子さんが帰国子女と職場結婚したらしい。はー。

それに比べて、比べるのもどうかと思うけど、母の実家はぼくの6つ上の従兄が嫁の気配もなく一人でいる。将来どうなるんだろうなあと他人事ながら不安になる。本人がどう思っているのかは知らないけれど。

方や広がっていく家族、方や閉じていく家族。

閉じていく家族ってつれえなぁ。

 

タイプ速度についての話をしてみる。

最近ちょっと頑張ると時間3000を出せるようになってきた。といっても感覚的にはかなり早口で喋っているような気分。古舘伊知郎とか落語家とかそんなレベル。とにかく内容を考えずに頭に浮かんだ文章を脳直でぶっぱなす。こんなのだから表現を考えている暇もない。あとは誤字脱字ミスタイプを減らしていきたいのよね。急いで書いてると結構あるから。誤変換はもうどうしようもないなぁ。さっきだって「切らないと」の大一変換が「キラないと」になって、こんなんどうしようもないだろってなるもん。大一変換ってなんだよ第一変換だろバーローが。まぁそんな感じで速度を重視すると大切なものがところどころ欠けていくという感じだ。

もっとも余所見しながらタイプしていることもあるので、もしかするとそれはだんだんと慣れてきたということかもしれない。以前球速の話をしたっけ。コントロールよりとにかく速度、速度を先につけるべきなのだ。コントロールは後からついてくる。

ただ何の関連性も造らなくていい日記だからこの速度で行けるけど、実際小説をこの速度で書こうとするとどうしても考えてしまって手が止まるだろうなと思う。頭に浮かぶ風景をひたすら書き写すというある種のゾーンに到れるならそれが一番いいのだよな。

まぁいっそのこと本当に画面見ないでひたすらキーボードをタイプし続けるというのもそれはそれでいい練習になりそうな気もするが……文章表現技法を捨てる決心がまだつかない。書きあげられない技法なんて意味ないっていうのにね。

 

実を言うと。

お恥ずかしい話。

いまだに「この世に生まれたすべての人間が生中出しで発生した」という事実が腑に落ちていない。

いきなり何を言い出すんだとお思いだろうが、ただの正直な告白である。

あっ人工授精とかもあるけどね、ごめんね、そういう人たちを無視する意図はないんだけどね、でも多分そういう人を目にすることはないだろうしそうやって生まれた人を目にする機会もないだろうから例外として片付けさせてもらうね。

いやだって。

なんていうか。

想像できないんですもん。

性の6時間のコピペじゃないけどみんながみんなおセッセして子供作ってるって事実がさ、なんか実感わかないんだよね。試しに駅前やスーパーでぼーっとしてみるといいさ。それで夫婦や子供連れはいないかなって探してみるといいさ。その人達はみんなおセッセしたのさ。想像はできる。でも腑に落ちない。

なんだろうなぁこれ。恋人同士がそういうことをするっていうのは、まぁ理解できる。でも夫婦ってなると、だめだね。本当なら夫婦こそ子供を作るんだからそういうことをしているイメージがあって然るべきなのに、恋人では理解できても夫婦では理解できない。なんだろうなぁこれ。

仲のいい夫婦像が上手く持てなかったせいなのかな。つまりもっとも近いサンプルである父と母が不仲だったから? それとも単純にぼくが童貞なせい? それとも他人を心の底から信用したことがないせい?

なんとなく正解は三番目のような気がしている。素っ裸になって自分を曝け出すとか恐ろしくて恐ろしくて想像するだけでぞっとする。心底ぞっとする。

こんな人間、やっぱりただの欠陥品なんじゃないのかな。この血はここで絶ちたいから、どのみち子供なんて作りたくないけど。……でもなぁ、伴侶は欲しいな。人生の理解者は、欲しいな……。本当は本音をぶちまけられる相手が欲しいんだよね。受け止めてほしいんだよね。だってずっと我慢してたわけだし、そういうの。子供の頃。でももうそんなの望むべくもない。願いと同じくらい、或いはそれ以上に恐れが強いだもん。受け入れられるのが怖いんだもん。

ああ、寂しいねえ……ああ、寂しいなあ……。

 

とりあえず今日はこんなところで終わろう。

あまりにも打鍵音がうるさかったのか叔母上殿が自分の部屋に引っ込んでしまった。

これもあるから一人の時じゃないとやりづらいのよな、小説書き。

3404文字。