遺書手紙日記

覚書、或いはTLを汚さないための長文

今日は少し気分がいいようだ

5月24日 くもり

4連勤が終わって明日は休み、その次が出勤で、その後2連休。

ようやく一息つけるといったところだ。

世間様から見たら、4連勤くらいでなんだ、と言ったところだろうな、というのは、いつもぼくの頭のなかにある。世間様は5連勤が常識だからだ。

 

もう2月ころからずっと考えていたことだが、やはりこの仕事をやめたい。

別の仕事に行ってもまるで使い物にならないかもしれないし、そもそも別の仕事も見つからないかもしれないけれど、やはり今のこの仕事をずっと続けていくのは多分どこかで精神が擦り切れると思う。

否、多分どんな仕事に就いてもいつかどこかで精神が摩耗し切ってしまうことはほぼ予想できるのだけれど。

 

ぼくの中の一部がこう言っている。

「創作的な仕事をしたい。頭から空想が離れないなら、やはりそれを具現化して行くしかないんじゃないだろうか」

それに対して、別のぼくがこう言っている。

「そんなの無理に決まっているだろう。年齢や学歴なんかを引き合いに出すまでもなく、おれの中には創作の才能がないんだ。そして戦っていくためのコミュニケーション力も、積極性も、自信もない。機会も能力も運もない。やろうと思えば今からだってできるはずじゃないか」

それに対して、別の僕がこう言っている。

「そのとおりだ。おれの人生はもう方向性が決まっている。おとなしく涙を飲んで血を吐きながら単純労働に従事すべきだ。心を殺して、働くために生きていくべきだ」

それに対して、別の僕がこう言っている。

「弟は営業の仕事が性に合っているらしいね。ホワイトカラーといえるどうかは意見が別れるようだけど、スーツを着て、たくさんの人と話して、たくさんのことを考えてるね。あれが羨ましいよ。あんな風になったらかっこよかったのに、おれなんかてんでだめだな。よくデキた弟に、落ちこぼれの兄。泣かせる話だよねえ」

「それに、お前の母親だって、なんだかんだで今は管理職さ。能力そのものが高いわけじゃないけど、年の功で立派にやっている。忙しくしていても、働くのが楽しそうじゃないか。尊敬できる人と一緒に働くのが多分楽しくてしょうがないんだろうよ。どんなに大変でもさ」

「そこへきて、お前はなんなんだい。仕事が好きじゃない、仕事ができない、仕事がしたくない、生きていくのがつらい、死にたい、弱音ばっかり吐いてるじゃないか。そんな人間にできる仕事なんて、存在しないんじゃないか? 今のまま大人しくパート社員として人間の底辺として生きていくのが、分相応ってもんじゃないのか?」

それに対して、別のぼくが言っている。

「でも、でもだよ、でも、同じように無能で蔑まれるなら、同じようにミスして怒られるなら、同じように心を殺して生きていくなら、せめてもっとお給料のいいところで同じようにされたくないかい? まぁ、相手にとっては迷惑だろうけどさ、そこはどうにか目をつむってさ、給料泥棒って言われたってしょうがないけど、せめて自分の生活費を賄えるくらいの給料はさ、欲しいじゃない。だからもうちょっと稼げる仕事にさ」

それに対して、別のぼくがこう言っている。

「でもさぁ、稼げる仕事ってことは、時間拘束も増えるんだよお。2倍以上、下手すりゃ3倍とかさ。その時間のストレスに、お前、耐えられるのかい? 午前中にメンタル打ちのめされても午後も暗くなるまで仕事しなきゃいけないんだぜ。お前、耐えられるのかい。それにこうして日記をだらだら書く時間だってなくなる。ゲームに入り浸る時間だってなくなる。休日は疲れて家族の買い物に付き合うどころじゃないかもしれない。十中八九、今の安穏な生活を犠牲にしなきゃいけないんだぜ」

「それは……やってみないとわからないと思う……よ」

「そうだな。やってみないとわからないな。でもそういうリスクはどこへ行ったってついて回る。稼ぎは2倍でもつらさ2倍と拘束時間2倍なら、苦痛は4倍だぞ。2倍で済めば御の字かもしれないけどな」

それに対して、別のぼくがこう言っている。

「でも……じゃあ今の仕事をずっと続けていって、なんの目があるっていうんだ。このまま35になっても40になってもいじいじいそいそと死んだ目で作業に徹さなきゃいけないなんて、拷問じゃないか。地獄じゃないか」

「拷問だよ。地獄だよ。でも、そこまで自分を追いやったのは自分だからさ。あーあ、どこかのタイミングでコース変更に成功してれば」

「どこかってどこ」

「知らない。わからない。」

「……」

「……」

「……今からでも変更はできるよ。全部投げ捨ててしまえばいい」

「だがそれはだめだ。禁じ手だ。それは親父と同じ手段だ。奨学金だって返し終えてない。母親のためにならないし、弟のためにならないし、親戚のためにもならない」

「でも、だって、この先、生きていたって同じようなことじゃないか。なら人生の損切は早めにすべきだ。すべきだったのに、もうこんなところまでずるずると生きてしまっているんだぞ」

「でも、自殺したやつの周りの人間がどんだけショック受けるか、知らないわけじゃないだろ。……あと、怖いし」

「まぁ、怖いけど」

「怖い」

「上手く死にたい」

 

……今日は少しランニング行けるかなと思ったのに、もうこんな時間である。

行けなくはないけど、どうしようか。

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